束帯そくたい)” の例文
旧字:束帶
束帯そくたいの上から縄打つ法はあるまい。まして宮門の内より縄付きを出してよいものか。万一、どうしてもがえんじねば、俊基、この場で舌を
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神官は束帯そくたいを脱いでただの人で坐っていた、そして目白の話をしたりしていたが、帰る時に好いついでだからといって接骨木にわとこの小苗を貰って行った、ということがある。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
さらに公西華に至っては、束帯そくたいして朝に立つのがその柄であることを玄端章甫げんたんしょうほや宗廟の祭りで巧みに言い変えている。言葉は全部違うが、言おうとすることは全然同一なのである。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
束帯そくたいこそしていないけれども、かんむりをかぶっている。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
宮は、二ほんの親王、征夷大将軍の正装で、束帯そくたいのすそを侍臣に持たせ、車びさしの下へ、上手にお身をかがみ入れてから、外の殿ノ法印へ。
束帯そくたいすそが、同時に、長いをえがいた。すかさず、べつな武者へも宮は足蹴あしげをくれるやいな、だっと、元の階段のほうへ、一躍しかけた。
仮病けびょうも考えたが、そうもなるまいと、思い直して、束帯そくたいを着、華冠はなかんむりを、頭にのせた。そしてあごを上げて、妻にひもを結ばせながら、いいつけた。
乱れた髪や束帯そくたいをやや正して、俊基は地上に坐った。そして、内裏の大屋根へ向って、長いこと、ひれ伏した。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
牛車、束帯そくたいならわしでもある。だがいま、忠顕にはそんな顧慮のいとまもない。乗りすてた駒を衛府えふへ預け、中重なかえノ門を大股に殿上のほうへ通って行った。
俊基は、くつかず、束帯そくたいすそ尾長鶏おながどりの尾のように曳きながら、大膳寮の横を、中務省なかつかさしょうの方へと、逃げまろんで行った。——朝堂ちょうどう八省の内門へ駈け入ろうとするのらしい。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、当日には、束帯そくたいの下に、鞘巻さやまきの刀をき、あえて、見よがしに、参内した。