杓子定規しゃくしじょうぎ)” の例文
彼のいわゆる「修道院の杓子定規しゃくしじょうぎ」の中に入り込んでくるのを見ることは、フォーシュルヴァンにとってはいかにも意外で
二にもお家、杓子定規しゃくしじょうぎに納まって、およそあましたの世間というものを、将軍様と秋元六万石よりほかに知らない人物です。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここで杓子定規しゃくしじょうぎの説教をされるのか? 公明正大に言ったおかげで、訓戒されるわけか? そして、逮捕理由についても命令の出し主についても
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
誰も昔を見たことがないのだから何とでも言える訳さ。しかし昔の道を杓子定規しゃくしじょうぎにそのままんで、それでうまく世が治まるくらいなら、誰も苦労はしないよ。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
もしそうするとせっかくこしらえた文法に妙に融通のかない杓子定規しゃくしじょうぎのところができたり、また苦心して纏めた歌の法則も時には好い歌を殺す道具になるように
中味と形式 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
政治家の秘訣ひけつはなにもないよ、ただ誠心誠意の四字ばかりだよ——内政のことにしろ、この秘訣を知らないから、どうも杓子定規しゃくしじょうぎで、さっぱり妙味というものがない。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ここを我慢して謝罪わびがてら正直にお辰めを思い切れと云う事、今度こそはまちがった理屈ではないが、人間は活物いきもの杓子定規しゃくしじょうぎの理屈で平押ひらおしにはゆかず、人情とか何とか中々むずかしい者があって
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「でも、そう杓子定規しゃくしじょうぎにとらわれず、そこは何とかなりませんか。いかに鎌倉のおさしずでも」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
癖にの流行はやる世の中ほど理想の一定した世の中はないのであります。町人はかくあるべきもの、女房はかくすべきもの、子供はかく仕えべきものと、杓子定規しゃくしじょうぎで相場がきまっております。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
物があってその物を説明するために定義を作るとなると勢いその物の変化を見越してその意味を含ましたものでなければいわゆる杓子定規しゃくしじょうぎとかでいっこう気のかない定義になってしまいます。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)