曾根そね)” の例文
新字:曽根
それを愍然びんぜんに思ってくれたのか、曾根そねの星ヶ岡茶寮のN君が、一日、自家用車でやって来て、きょうは京都をお見せしてあげましょうという。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「だから、家の中に主人を殺す者があれば、あの妾のお源が一番怪しいと——これは下女のお曾根そね婆さんの言ひぐさですよ」
斎藤内蔵助は名を利三としみつといって、美濃の国曾根そねの城主、稲葉一鉄いなばいってつとは婿むこしゅうとのあいだがらにあったが、訳あって稲葉家を去り、当時浪人の身の上であった。
蒲生鶴千代 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
銀座の曾根そねのスタジオへ撮影に行った帰りに、飾り窓の前に立っていると、またしてもその青年外人が傍に立って、にやにやしているのに気づいたが、その時は目と目とみ合っただけで
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
梁川星巌、名は孟緯もういあざなは伯兎、後に公図。初め詩禅と号し後に星巌と改めた。通称は新十郎、美濃国みののくに安八あんぱち曾根そね村の人。年十四、五の頃父母を失うや、家をその弟に継がしめて江戸に来た。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
暮れてから、三吉は曾根そねという家の方へお雪を連れて行った。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
今、手があいてたら、大急ぎで曾根そねさんところまで、一と走り行つて来てくれない? 松代まつよさんと鋭市えいいちさんに、お遊びにいらつしやいませんかつて……。ブリツヂのいゝお相手がいらしつてるからつてね。名前を
花問答 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
というのは、何を意味するか、自分にも分らないので、日時を費やしていたが、曾根そねの円通寺住職杉田宗直氏に照会してみたところやっと分った。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
縁側から聲を掛けたのは、下女のお曾根そね婆さんでした。
見ると、美濃みの安八郡あはちごおり曾根そねの城主で、こんどの大戦にあたり、秀吉のために、老躯ろうくをひっさげて、みちの案内に立ち、終始、かれのそばにあった稲葉伊予守入道一鉄いなばいよのかみにゅうどういってつであった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「下女のお曾根そねがいたします、——あれですが」
安八郡あんぱちごおり曾根そねの城主、稲葉伊予守通朝いなばいよのかみみちとも
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)