明色ブロンド)” の例文
むしろ種族と典型との等しさ——あの晴れやかな鋼色はがねいろの眼、明色ブロンドの髪を持つ種類としての等しさによるのだった。
みなくの字なりに身を曲げ、背の中ほどまでもりあけてみせたる貴婦人のうなじ金糸きんし縫模様ぬいもようある軍人のえり、また明色ブロンド高髻たかまげなどの間を王族の一行よぎりたまふ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ことなるかたに心めたまふものかな。」といひて軽くわが肩をちし長き八字髭はちじひげ明色ブロンドなる少年士官は、おなじ大隊の本部につけられたる中尉ちゅういにて、男爵だんしゃくフォン・メエルハイムといふ人なり。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
同輩たちは彼の寵をることに汲々としていたし、また往来では紳士淑女たちが彼を引きとめて、オランダ風の水夫帽からはみ出ている、薄い明色ブロンドの前髪をつかみながら、こう言うのだった。
豊かな明色ブロンド垂髪おさげと、笑を含んだ切れ長の碧い眼と、鼻の上に薄くかかっているそばかすとを持った面影である。彼女の声にこもっていた響きが耳について、彼は寝つくことができなかった。