旱魃ひでり)” の例文
十五、六ちょういった谷間たにまに、一つの清水しみずがありました。それが、この旱魃ひでりにもきず、滾々こんこんとしてわきていました。これはいい清水しみずつけたものだ。
神は弱いものを助けた (新字新仮名) / 小川未明(著)
旱魃ひでりの氷屋か貧乏人が無尽むじんでも取ったというようににやり/\と笑いながら、懐中から捲出まきだしたは、鼠色だか皮色だか訳の分らん胴巻様どうまきよう三尺さんじゃくの中から
僕の叔父に僧侶になっているのがあるんですが、その信仰といったら、旱魃ひでりのとき野原へ雨乞いに行きますね、すると帰りに雨に濡れない用心に必ず雨傘と皮外套を持って行くんですよ。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「女旱魃ひでりの國てえのは何處だえ、——まさか傳馬町の大牢ぢやあるめえな」
旱魃ひでりのために学校の井戸水が空になり、飲み水さへなくなつてゐたのです。
先生と生徒 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
近江屋の隠居が自慢たらたらで腕をふるった腰の曲がったえびの跳ねている海老床の障子に、春は四月のうららかな陽が旱魃ひでりつづきの塵埃ほこりを見せて、焙烙ほうろくのように燃えさかっている午さがりのことだった。
逆に旱魃ひでりでみのった稲だ
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
旱魃ひでりつづかば
野口雨情民謡叢書 第一篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
正覚寺の生け垣にそって旱魃ひでりつづきで水の乾いた溝がある。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)