早鉦はやがね)” の例文
すると、蕭々しょうしょうたる平沙へいさよし彼方かなたにあたって、一すい犀笛さいぶえが聞えたと思うと、たちまち、早鉦はやがねや太鼓がけたたましく鳴りひびいた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それを、ようやくの思いで、咽喉の奥に押しかえし、殊更ことさらかるい会釈えしゃくこたえて、その場を足早に立ち去った。しかし、彼女の心臓は、早鉦はやがねのように打ちつづけていた。
鬼仏洞事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼が馬をすすめると、右翼の夏侯淵かこうえん、左翼の曹仁は、共に早鉦はやがねを打ち鼓を鳴らして、その威風にさらに気勢を加えた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私の胸は、早鉦はやがねのように鳴りだした。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし陳達の指揮下にある賊も、「なんの百姓ばらが」と、門へ向って馬群をおめかせ、またおどしの早鉦はやがねだの銅鑼どらを打ち鳴らした。ところが、どうして相手は手強てごわい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、甲軍は形のごとく、重厚堅密な布陣をもってし、まずその前列に布いた鉄砲組から、敵の旋回陣へむかって、鉄砲の射撃を開始したのであるが、上杉方から早鉦はやがねが鳴り、ときの声が沸くやいな
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
銅鑼どら早鉦はやがねが鳴っていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)