日光ひのめ)” の例文
先刻さっきから覚めてはいるけれど、尚お眼をねむったままでているのは、閉じた眶越まぶたごしにも日光ひのめ見透みすかされて、けば必ず眼を射られるをいとうからであるが、しかし考えてみれば
で、彼等は平生へいぜい日光ひのめを見ない穴の中に隠れ棲んでいて、暗い夜になるとひそかに出て歩く。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
謂はゞ精神的せいしんてき監禁かんきんツたやうなもので、日光ひのめあふぐことさへ出來なくなツて了ふ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
逃げられるだけ逃げて、ここまで来て、とうとうシキの中へもぐり込んだ。それから六年というもの、ついに日光ひのめを見た事がない。毎日毎日坑の中でかんかんたたいているばかりだ。丸六年敲いた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
懐中時計を取出とりだしてると、先刻さっきからの騒ぎで何時いつうしたか知らぬが、硝子がらすの蓋はこわれて針は折れていた。日光ひのめえぬ穴の底では、今が昼か夜か、それすらも殆ど見当が付かぬ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)