既成きせい)” の例文
しかもけっして既成きせいつかれた宗教しゅうきょうや、道徳どうとく残滓ざんしを、色あせた仮面かめんによって純真じゅんしん心意しんい所有者しょゆうしゃたちにあざむあたえんとするものではない。
ことに、既成きせい政治家の張りめぐらした奸悪かんあくな組織や習慣を一つ一つ破砕はさいして行くことは、子路に、今まで知らなかった一種の生甲斐いきがいを感じさせる。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
それから一般的に新しい色彩が行きわたっているため、本質的な思想家や芸術家は既成きせいの人を除いてはぼかされやすようです。
新時代女性問答 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
或人は某地に其人が日に焦けきつたたゞの農夫となつてゐるのを見たといふことであつた。大器不成なのか、大器既成きせいなのか、そんな事は先生の問題では無くなつたのであらう。
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
既成きせい科学に対し、すっかり囚人しゅうじんになっているのがいけないのかもしれない
ある人は某地にその人が日にけきったただの農夫となっているのを見たということであった。大噐不成ふせいなのか、大噐既成きせいなのか、そんな事は先生の問題ではなくなったのであろう。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)