旅客りょかく)” の例文
はげしい暴風雨あらしがあつて、鉄道が不通に成り、新道しんどうとても薬研やげんに刻んで崩れたため、旅客りょかくは皆こゝを辿たどつたのであるが、其も当時だけで、又中絶なかだえして、今は
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
僕は全くの旅客りょかくでこの土地には縁もゆかりもない身だから、知る顔もなければ見覚えの禿げ頭もない。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
只管ひたすら人懐ひとなつかしさに、進んで、喜んで朝から出掛ける……一頃ひところ皆無かいむだつた旅客りょかくが急に立籠たてこんだ時分はもとより、今夜なども落溜おちたまつたやうに方々から吹寄ふきよせる客が十人の上もあらう。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その翌日、神戸行きの急行列車が、函根はこね隧道トンネルを出切る時分、食堂の中に椅子を占めて、卓子テイブルは別であるが、一にん外国の客と、流暢りゅうちょう独逸ドイツ語を交えて、自在に談話しつつある青年の旅客りょかくがあった。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)