斑牛まだらうし)” の例文
優しい眼をした黄と白の斑牛まだらうしが寝そべっていて、可愛い仔牛こうしがいたが、生きた牛のそばにいった事はないし、臆病な私はこわかった。
女らの露店には鈴をつけた山羊やぎも時々寄って来、白い牛、斑牛まだらうし、黒牛なども寄って来るが、女らはそういう獣にはかまわずに、店を片付けて帰るのであった。
リギ山上の一夜 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
日のあたる原のかたへに欅立ち、欅の傍に斑牛まだらうしひとり居りけり。安らかに繋がれてけり。山峡の湯どころの秋。て見れば、下の小橋を杖つきて渡る子もあり。
日に輝き、揺れ、絶えず小さいさやぐ音をたてている。それは何かしら僕の心を吸いこんでしまうやつだ。それに白と黒の斑牛まだらうし、こいつはどうしていつまでもこう動かずにいるんだろう。
石ころ路 (新字新仮名) / 田畑修一郎(著)
「かりに斑牛まだらうしの子であっても、天地山川の神々はお嫌いはされぬかの。」
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
丘の上に 濕けたからだをしてゐる斑牛まだらうし
閒花集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
日のあたる原のかたへに欅立ち、欅のそば斑牛まだらうしひとり居りけり。安らかに繋がれてけり。山峡の湯どころの秋、出て見れば下の小橋を、杖つきて渡る子もあり。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)