文武もんむ)” の例文
橘夫人は天智てんぢ時代に生まれ、天武時代にその若き恋の日を送り、持統時代の文武もんむ帝の養育者となり、文武時代に光明后を産んだ人である。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
鎌足かまたりは、天智天皇の仰せに依つて法令を制定した。近江令あふみりやうであり、文武もんむ天皇の御代に出来た大宝律令の根本を成すものである。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
軽皇子(文武もんむ天皇)の御即位は持統十一年であるから、此歌はそれ以前、恐らく持統六、七年あたりではなかろうか。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
たとい造仏の完成は後年であろうとも、天武天皇の信仰は、持統、文武もんむ、元明の三朝を通して、語り継ぎ言い継ぎまもられて行ったに相違ないと思う。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
まあ話の順でございますからお聞き下さいまし、文武もんむ天皇即位の五年、対馬国つしまのくにより金を貢す、よって年号を大宝たいほうと改むということを国史略を読んだから私共は知っています。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
山海万里のうちにはおのずから異風奇態の生類しょうるいあるまじき事にあらず、古代にも、仁徳にんとく天皇の御時、飛騨ひだに一身両面の人出ずる、天武てんむ天皇の御宇ぎょう丹波たんば山家やまがより十二角の牛出ずる、文武もんむ天皇の御時
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
持統、文武もんむ、元明、元正げんしょうの四帝三十五・六年の間は、主に母后の帝位をがれた時代で、聖武天皇はかような状態の後をうけ、久しぶりに男子として帝位に就かれた方である。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
しかし薬師寺の諸堂伽藍がらんの工が一応整ったのは次の文武もんむ天皇即位二年であり、造薬師寺司を置いて全く完備するには更に十年の歳月を要したのであるから、前後実に三十年に近き歳月を
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)