故参こさん)” の例文
柳下君は私より若いけれど、会社ではズッと故参こさんだ。つい先頃までは、同じ電車に乗り合せても、平気で新聞を読んでいたのである。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
どちらも大森署の巡査であるが、一人は猪村いむらといって丸々したイガ栗頭。大兵たいひょう肥満の鬚男ひげおとこで、制服が張千切はちきれそうに見える故参こさん格である。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
就中なかんずく厳しく守られていたのは新参しんざん故参こさんの序次で、故参は新参のために座より起つことなく、新参は必ず故参の前に進んで挨拶あいさつしなくてはならなかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
昔、自分の勤めていた役所にMという故参こさんの助手がいた。かなりの皮肉屋であったが、ときどき面白い観察の眼を人間一般の弱点の上に向けて一風変ったリマークをすることがあった。
変った話 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
浅ましい話だが、私は社長の信任を笠に着て、いつの間にか故参こさんの同僚を下目に見る癖がついていた。畑君あたりと話をしていて、課長連中の噂が出ても
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
清水君が一日せんを越す勘定になる。日を争ってまで招いてくれるのは嬉しかった。新米しんまいの僕は故参こさんの御機嫌を損じたくない。会社の帰りを清水君の新家庭へついて行った。
冠婚葬祭博士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
柴田君よりもずっと故参こさんだ。先頃校長会議に上京した時、訪ねて来て一晩話した。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
先方むこう故参こさんだから遠慮がない。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)