支考しこう)” の例文
支考しこう乙州いっしゅうら、去来きょらいに何かささやきければ、去来心得て、病床の機嫌きげんをはからい申していう。古来より鴻名こうめい宗師そうし、多く大期たいご辞世じせい有り。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
かつて一度は同じ連衆に参加した者の間にすら、後々のちのちは異説を生じ、越人えつじん支考しこう許六きょりく惟然いぜんなどは互いにののしりまた争っていたのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この人の世話で、美濃派の俳席らしい支考しこうの『三頫さんちょうの図』なぞの壁にかけられたところで、やがて連中の付合つけあいがあった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
俳句は享保に至りて芭蕉門の英俊多くは死し、支考しこう乙由おつゆうらが残喘ざんぜんを保ちてますます俗に堕つるあるのみ。明和以後枯楊櫱こようひこばえを生じて漸く春風に吹かれたる俳句は天明に至りてその盛を極む。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
支考しこうという男がおりまして、俳句の文法などを講じ、当時の無学な俳人共を煙に巻いて以来宗匠の中にはとかく俳諧はいかい文法論が盛んでありますが、私は全然これを無用のものとして排斥します。
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
やぶから村へぬけるうら道 支考しこう
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)