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摩利
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まり
「いや、予が前で
神仏の名は申すまい。
不肖ながら、予は天上皇帝の神勅を蒙って、わが日の本に
摩利の教を
布こうと致す沙門の身じゃ。」
さては邪見な
七蔵め、何事したるかと
彼此さがして大きなる
節の抜けたる所より
覗けば、鬼か、悪魔か、言語同断、当世の
摩利夫人とさえ
此珠運が尊く思いし女を、取って抑えて何者の仕業ぞ
洛中に一人の
異形な
沙門が現れまして、とんと今までに聞いた事のない、
摩利の教と申すものを説き
弘め始めました。
震旦から渡って参りました、あの
摩利の教と申すものだそうで、
摩利信乃法師と申します男も、この国の生れやら、
乃至は
唐土に人となったものやら