ゆり)” の例文
旧字:
かれは遺憾いかんの意を表された。勘定をすました。食事をしてから、なまあたたかい宵をゆりいすに腰かけて新聞をよみながら、裏側のテラスですごした。
そよ風が小波立てて、沼の上を千条ちすじ百条ももすじ網の目を絞って掛寄せ掛寄せ、沈んだ跡へゆりかけると、水鳥がたごとく、芭蕉の広葉は向うのみぎわへ、するすると小さく片寄る。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)