換言かんげん)” の例文
これを換言かんげんして説明すれば、七十円の働きある人が二十円だけ犠牲ぎせいにし、すなわち二十円ほど献身的に尽したのである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
換言かんげんすれば、蠅はわれわれの五体をワクチン製造所せいぞうしょとして奉職ほうしょくする技師ぎし技手ぎしゅ亜類あるいであるかもしれないのである。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
換言かんげんすれば彼の怪人は、植物の進化したものである。ゆえに銃丸が入っても別に死せず、唯「緑の汚点おてん」として発見せられた緑汁りょくじゅうの流出があるばかりである。
科学時潮 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
人々はその花托かたくすなわちくき頂部ちょうぶ換言かんげんすればそのくきしょくしているのであって、本当の果実をっているのではない(いっしょに口には入って行けども)。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
換言かんげんすると、あなた方が世間へ出れば、貧民が世の中に立った時よりも余計権力が使えるという事なのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この朝、堀秀政が、突如、進撃を決して来たのも、敵本陣の空気に、不審を認めたからではあるが、換言かんげんすれば、それは勝家の“位”のやぶれによるともいえるのである。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この主張は、実に、人類の食物の半分を奪おうとくわだてるものである。換言かんげんすれば、この主張者たちは、世界人類の半分、則ち十億人を饑餓きがによって殺そうと計画するものではないか。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
換言かんげんすれば一方には巨万のとみを積みながらこれに安んじないで、なんなりこれ以上の、富以上の事業をまっとうせんと努力する気前きまえと精力は、この国民の大いに買ってやるべき気象きしょうである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)