掻切かきき)” の例文
と云いつゝ短刀を右手のあばらへ引き廻せば、おいさは取付とりつなげきましたが、丈助は立派に咽喉のど掻切かききり、相果てました。
昨夜と同じように、その田口という男が発光室で喉を掻切かききられて死んでいたのです。犯人は何処どこからも忍込しのびこめません。傷口は、……吉井君のと寸分違わずです。
廃灯台の怪鳥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
次の日の朝、和歌の浦の漁夫ぎよふ、磯邊に來て見れば、松の根元にはら掻切かききりて死せる一個の僧あり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
と苦しいから早く自殺しようと鎌の柄に取りすがるを新吉は振り払って、鎌を取直し、わが左の腹へグッと突き立て、つかを引いて腹を掻切かききり、夫婦とも息は絶々たえ/″\に成りました時に、宗觀は
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)