挿頭かざ)” の例文
いまだ額に波は寄らねども、束髪に挿頭かざせる花もあらなくに、青葉もすぎ年齢とし四十に近かるべし。小紋縮緬ちりめん襲着かさねぎに白襟の衣紋えもん正しく、ひざあたりに手を置きて、少しく反身そりみすがたなり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また奏し合った中でも蔵人少将は、新女御が見ておられるであろうと思って興奮をおさえることができないのである。美しい物でもないこの夜の綿の花も、挿頭かざす若公達きんだちに引き立てられて見えた。
源氏物語:46 竹河 (新字新仮名) / 紫式部(著)
つてに見し宿の桜をこの春にかすみ隔てず折りて挿頭かざさん
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)