「しかし、謝ってもらって、来たところが、あの人もいい気持はしないだろうし、貴女だって、きっと何となくそれに拘泥るだろうし……」
何の拘泥りもない夫妻の掛合い話は、その夫の立志美談を語るように聞こえて傍にいる者達の間の好評をさえ受けるのに充分でございました。
君がこれくらゐのことに拘泥つて大袈裟に騒ぎだした理由といふものが、却つて僕には呑みこめないやうなものだよ
しかし先生の方では、それに気が付いていたのか、いないのか、まるで私の態度に拘泥る様子を見せなかった。
その翹望は、悲しい暗い過去にばかりとかく拘泥り勝ちであった岸本の心を駆って、おのずと先の方に向わせるように成った。もし懺悔を書く日が来たら。