押借おしがり)” の例文
押借おしがり強請ゆすり美人局つつもたせと、あらゆる無頼の味をめた、そして飽くことを知らぬ女の情慾のために、今では治る望みもない労咳を病む身となっている——。
お美津簪 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「解りましたよ、親分、——浪人は井崎八郎いざきはちろう北国者ほっこくもので剣術も学問も大なまくらだが、押借おしがりの名人、遊び人の方は白狗しろいぬ勘次かんじという小博奕打こばくちうち、これも筋のよくねえ人間だ」
強請ごうせい押借おしがりというようなことが、思うように効果があがらなくなったのと、いうところの下剋上げこくじょう——下級したの者すなわち貧民達が、上流うえの者を凌ぎ侵しても、昔のようには非難されず
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「それだよ、その事だよ、何も、押借おしがり強談ゆすりなら、」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「解りましたよ、親分。——浪人は井崎八郎、北國者で劍術も學問も大なまくらだが、押借おしがりの名人、遊び人の方は白狗しろいぬの勘次といふ小博奕打こばくちうち、これも筋のよくねえ人間だ」
よくやつて來るさし賣りか押借おしがりとでも思つたか、小僧は急には取次がうとしません。
銭形平次捕物控:167 毒酒 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
祖先傳來の浪人ではしにも棒にも掛らぬ手合があり、押借おしがり強請ゆすり、喧嘩口論を渡世にする者も、博奕打ばくちうちや裕福な町人の用心棒になつて生涯をブラブラと暮して了ふ者も少なくはなかつたのです。