手攫てづか)” の例文
大好きな薩摩芋が眼の前へ飛んで来たのだから、早速箸をほうり出して、手攫てづかみにしてむしゃむしゃ食ってしまった。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わしやお内儀かみさんかゝあおつころしてからつちものは乞食こじきげだつて手攫てづかみでものしたこたあねえんでがすかんね、そらおつうげもはあことわつてくんでがすから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
隆山は新聞紙を丸めて、七輪の中へそれを入れ、手攫てづかみで炭をその上に乗せマッチを擦った。
泣虫小僧 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
英国の天子が印度インドへ遊びに行って、印度の王族と食卓を共にした時に、その王族が天子の前とも心づかずに、つい自国の我流を出して馬鈴薯じゃがいも手攫てづかみで皿へとって
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その牛肉屋の牛が馬肉かも知れないといふ嫌疑がある。学生は皿に盛つた肉を手攫てづかみにして、座敷のかべたゝき付ける。落ちれば牛肉で、貼付ひつつけば馬肉だといふ。丸でまじなひ見た様な事をしてゐた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)