手弄てなぐさ)” の例文
或は悪魔の手弄てなぐさみか、実際この十姉妹の流行は、一時天下を風靡した万年青おもとと同じく、不可解な魅力を以って、四国を発端にして中国近畿
十姉妹 (新字新仮名) / 山本勝治(著)
「大きな事を言やがる。お上の御用を承る者が、手弄てなぐさみなどしちゃならねえと、あれほどやかましく言っているじゃないか」
初めはほんの手弄てなぐさみだったのが、だんだん色々のものをっているうちうまくなって来て、自分でも面白味が出て来て、しまいには仏像なんかまでこころみるようになったのだそうである。
由布院行 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
素焼きのお狐に泥絵具を塗って、一つが十二もん、あれは懐中ふところへ忍ばせておくと、願い事がかなうとか言って、手弄てなぐさみをする手合がよく持っていますが——
「手前は手弄てなぐさみばかりかと思ったら、いつの間に娘師や強盗たたきの真似をするようになったんだ」
「手前は手弄てなぐさみばかりかと思つたら、何時の間に娘師むすめし強盜たゝきの眞似をするやうになつたんだ」
「戸締りには何んの變りもなく、店では三人の若い者が手弄てなぐさみをして騷いで居りました」
もとはあの野郎がやくざ仲間に入って手弄てなぐさみなどをしたから起ったことなのに、一言のわびでも言うことか、近頃は身まで売った妹のところへ、ノメノメと無心に行くそうでございます。
もとはあの野郎がやくざ仲間に入つて手弄てなぐさみなどをしたから起つたことなのに、一言のわびでも言ふことか、近頃は身まで賣つた妹のところへ、ノメノメと無心に行くさうでございます。
「へエ——、取上げられたと申しませうか。——お金は五年前に、三十兩ほど拜借しました。重なる不仕合せと、伜の松太郎が手弄てなぐさみを覺えて、不義理の借金をこさへたためでございます」
あれは徳藏稻荷の門前で賣つて居ますね、素燒のお狐に泥繪具どろゑのぐを塗つて、一つが十二文。あれは懷中ふところへ忍ばせて置くと、願事がかなふとか言つて、手弄てなぐさみをする手合がよく持つて居ますが——
「ヘエ——、取上げられたと申しましょうか。——お金は五年前に、三十両ほど拝借しました。重なる不仕合せと、倅の松太郎が手弄てなぐさみを覚えて、不義理の借金をこさえたためでございます」
「恐れ入ります。實は少しばかり手弄てなぐさみで勝ち續けたんで、へエ」