戻橋もどりばし)” の例文
それでも彼が渡辺の綱に腕を斬られたという戻橋もどりばしの鬼女の話をした時に、娘の美しい眉は少しひそめられた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
恐らく一番貧乏くじを引いたのは氏政だろう。首は氏照と一緒に、京都一条の戻橋もどりばしさらされて居るのである。
小田原陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
私もし、青柳町へ寄らないで、このていを見ると、いよいよ戻橋もどりばしだ。紅葉の下で生血を吸う……ね。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三十前からつなでは行かぬ恐ろしの腕と戻橋もどりばしの狂言以来かげの仇名あだな小百合さゆりと呼ばれあれと言えばうなずかぬ者のない名代なだい色悪いろあく変ると言うは世より心不めでたし不めでたし
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
応永のころ一条戻橋もどりばしに立って迅烈じんれつ折伏しゃくぶくを事とせられたあの日親という御僧——、義教よしのり公のいかりにふれて、舌を切られ火鍋ひなべかぶらされながらつい称名しょうみょう念仏を口にせなんだあの無双の悪比丘あくびく
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
応永のころ一条戻橋もどりばしに立つて迅烈じんれつ折伏しゃくぶくを事とせられたあの日親といふ御僧——、義教よしのり公のいかりにふれて、舌を切られ火鍋ひなべかぶらされながらつい称名しょうみょう念仏を口にせなんだあの無双の悪比丘あくびく
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)