まし)” の例文
大学の学生ともあらうものが、この位の事が解らないやうでは、いつそ首でもくゝつた方がましだと思つたらしかつた。学者はそつと溜息をついた。
ぢきげて来さへすりや、切れると云ふんぢやなし、すこし不好いやな夢を見たと思へば、それでも死ぬよりはましだらう、と私はさう申しますと、狭山さんは、それは詐取かたりだ……
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
まづい洒落だが、それでも納得出来れば無いよりはましだ。丁度田舎者の腹痛はらいた買薬かひぐすりで間に合ふやうなものだから。
「私はあんな奴に自由に為れるのはさて置いて、これまでの縁を切るくらゐなら死んだ方がましだと、初中終しよつちゆう言つてをりますんですから、あんな奴に身をまかせるの、不好いやは知れてゐます」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
乞食物貰ひも五月蠅うるさくない事もないが、それでも詩人墨客よりはまだましな場合が多かつた。
猶々なほなほ此のやうのくるしき思を致候いたしさふらふて、惜むに足らぬ命の早く形付かたづ不申まをさざるやうにも候はば、いつそ自害致候てなりと、潔く相果て候が、はるかまし存付ぞんじつさふらへば、万一の場合には、やうの事にも可致いたすべく
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)