惨忍ざんにん)” の例文
旧字:慘忍
しお由の死から国太郎との秘密が知れたが最後、深い中年者の恋の遺恨いこんで、どんな惨忍ざんにん復讐ふくしゅうが加えられることであろう。
白蛇の死 (新字新仮名) / 海野十三(著)
お互に生存の安全を得やうといふんで、惡狡わるごすく、すばしこく立廻たちまわツて、そりや惨忍ざんにんなもんだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
可恐おそろしい惨忍ざんにん思着おもいつきが潜んでいるのではないかと、ふと幼心に感づいて、おびえた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
要するに彼はこれ虫界の Iago 悪魔の惨忍ざんにんを体現した様なものである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
どう解釈をしたものだろう? さも心地よいと云ったような、憎い相手の苦しむのがさも嬉しいと云ったような、惨忍ざんにん極まる笑い声! 悪意を持った笑い声! ヒ、ヒ、ヒ、ヒ、まだ笑っている。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
惨忍ざんにんな直助は庄三郎をりさいなんだ。
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)