悪徒わるもの)” の例文
旧字:惡徒
座敷へあがってキャア/\騒がれては大変と思いましたが、新吉はもとよりそれ程悪徒わるものという程でも有りませんから、たゞ甚藏の見相けんそうに驚きぶる/\ふるえているから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おのおの真紅の毒舌を出しながら、悪徒わるものの手といい足といい首胴の差別なく巻き付いている、髪面ひげづら悪徒わるものは苦しそうな顔をしてもがき苦しんでいるというような絵を見た事があるが
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
私は死んでもそんな悪徒わるものの自由になるまいとおもいまして、此処まで夢中になって逃げてまいりましたが、もう苦しくて、歩けないようになりましたから、倒れておりました
魔王物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「私は悪徒わるものの手から逃げて、此の上流かわかみの山の裾から来た者でございます」
魔王物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
元来ことという楽器は日本の楽器中でも一番凄みのあるものだ、私がまだ幼い時に見た草艸紙くさぞうしの中に豊國とよくにだか誰だったか一寸ちょっと忘れたが、何でも美しいお姫様を一人の悪徒わるものが白刃で真向まっこうから切付ける。
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
勿論悪徒わるものですから誰の所業しわざと詮議して呉れる者も有りません。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)