悟得ごとく)” の例文
狩野芳涯かのうはうがい常に諸弟子しよていしに教へていはく、「ぐわの神理、唯まさ悟得ごとくすべきのみ。師授によるべからず」と。一日芳涯病んです。たまたま白雨天を傾けて来り、深巷しんかうせきとして行人かうじんを絶つ。
悟得ごとくするものは無碍むげである。自然に任ずるこれらの作も自由の境に活きる。よき手工の前に、単なるおきては存在を有たない。物に応じ心に従って、凡てが流れるままに委ねられる。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ふかく筐底きょうていに秘めて、人にも示さず、翌年またあらたに一代の工夫と体験の精髄とをしるし、その年の末、ふたたび晩年に悟得ごとくした吹毛剣のことについて書き加えなどしていたが、翌年の春になると
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)