あわれ)” の例文
三年の間、彼は百姓をあわれいたわった。百姓は天地か父母のように視た。彼はまた、教学と文化の振興に努めた。児童も道を知り礼をわきまえた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自ら一を手にしけるが、たちまちにして色をしてののしって曰く、今世間の小民だに、兄弟宗族けいていそうぞくなおあいたがいあわれぶ、身は天子の親属たり、しか旦夕たんせきに其めいを安んずること無し、県官の我を待つことかくの如し
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
軍費を冗費じょうひしながら、与力、被官のともがらにはあわれまず、ひたすら自家のついえを惜しみ、衆心みな軍を離れ、士紀また振わず、世上に織田軍たるの面目を汚し、この戦国の中に、ひとり悠々閑日をぬすんで
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)