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御駕籠
明し居るに其夜平兵衞
竊に
辨當を持來りて與へ明日御奉行樣御登城掛を待ち受け
御駕籠に付て願ふべし御駕籠の
中より何事ぞと
尋ねらるゝ
時夫の
難儀御救ひの御慈悲を
拍是お節願うてもなき幸ひが出來たぞ
嗚呼是が
矢張天道樣の御
助けぢやヤレ嬉しや
忝けなやサア己と一所に來やれと云どお節は
合點行ずデモマア九助が切れる故御家老樣へと
半ばも
云せずナニ願ひも
糸瓜も入ものかと云節お節は未だ解せずデモ
爪印が濟だ上は捨て置たら夫の
命夫故
御駕籠へ
駈付てと藤八一人呑込でお節を