御老中ごろうじゅう)” の例文
去頃さるころより御老中ごろうじゅう水野越前守様みずのえちぜんのかみさま寛政かんせい御改革の御趣意をそのままに天下奢侈しゃしの悪弊を矯正きょうせいすべき有難き思召おぼしめしによりあまねく江戸町々へ御触おふれがあってから
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
老僕ろうぼくひたいしかめ、り有り、大変たいへんが有りたりという。先生手をげて、そはしばらくくをめよ、我まずこれを言わん、浮浪ふろう壮士そうし御老中ごろうじゅうにても暗殺あんさつせしにはあらざると。
しかるところ、異国船神奈川沖かながわおきへ乗り入れ候おもむき、御老中ごろうじゅう御屋敷へ注進あり。右につき、夜分急に御登城にて、それぞれ御下知ごげち仰せ付けられ、七日夜までに出陣の面々は左の通り。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
業平文治が安永の頃小笠原島おがさわらじまへ漂流致します其の訳は、文治が人殺しのとが斬罪ざんざいになりまする処を、松平右京まつだいらうきょう様が御老中ごろうじゅうの時分、其の御家来藤原喜代之助ふじわらきよのすけと云う者を文治が助けました処から
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御老中ごろうじゅう御奉行ごぶぎょうなどいう代りに新しく参議だの開拓使などいう官名が行われた明治初年の時代に対して、今となってはかえって淡く寂しい一種の興味を呼出されるのである。