御昵懇ごじっこん)” の例文
「先日、伊勢どのから足を運ばれて、もう御昵懇ごじっこんのあいだだから、何も御遠慮には及びますまい。——御自身、おはなしなされてはどうです」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前々から、あなたとは御昵懇ごじっこんに願いたいと考えて居りました。縁戚えんせきになれば、この上ないとよろこんでいたとですが、破談になったからというて、無縁になるのは、残念至極です。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「何さまこれァ大きにそうかも知れぬ。先生と遠山様とおやまさまとは堺町さかいちょうあたりではその昔随分御昵懇ごじっこんであったとかいう事だから、その時分じぶんのお話にいろいろ花が咲いているのかも知れませぬ。」
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「せめての子まで近寄られい、お父上とは御昵懇ごじっこんなものでござる。」
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「神尾殿とは御昵懇ごじっこんの間柄か」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
将軍家に直仕じきし召さるる安房どのへ、これ以上の御昵懇ごじっこんは、おためにもならぬことと思うて——わざと草庵へ帰って来た。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これは、寧子、おや屋の里方の叔父にあたる者。つまり当家の又右衛門どのの家内こひ女の兄、木下孫兵衛家定いえさだでござる。初めての御見ぎょけん、この後はわけても御昵懇ごじっこんに」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「兄左近どのに、引入れられたに違いありませぬ。日野蔵人さまとは、御昵懇ごじっこんの仲……」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)