御出入おでいり)” の例文
静子が御出入おでいりの帳場から呼んでくれた自動車にのって帰宅したのであるが、その時、静子は私を玄関まで見送る為に、私と肩を並べて廊下を歩いていたのだ。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
製薬には兎角とかく徳利とくり入用にゅうようだから、丁度よろしい、塾の近所きんじょ丼池筋どぶいけすじ米藤こめとうと云う酒屋が塾の御出入おでいり、この酒屋から酒を取寄せて、酒はのん仕舞しまって徳利は留置とめお
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
すると女はたちまちまゆを曇らして、「そんな立派な御屋敷へ我々風情ふぜいがとても御出入おでいりはできませんが」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御出入おでいりの商人、職人、盆栽のお見出しに預りたる植木屋までが、驚破すわ鎌倉とはせ参じ、玄関狭しと詰懸け詰懸け、一夜ひとよ眠らで明くる頃、門内へ引込みたる母衣懸ほろがけの人力車、彼はと見れば
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あの連中は光悦に御出入おでいりを申しつけた気でゐるやうぢやありませんか。」
京都日記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それは菰田家御出入おでいりの、T市でも有数の名医だということでしたが、彼は、この不可思議なる蘇生を、カタレプシという曖昧あいまいな術語によって、解決しようとしました。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
幕府の殿様方は汚い事が出来ない、幸い此処ここに革細工をする奴が居るからソレにさせろと云うので、デイ/\が大きな屋敷の御出入おでいりになったのと少しも変ったことはない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「するとまあただ御出入おでいりをさせて頂くという訳になりますな」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)