御供ごくう)” の例文
考へたもので、差當り人身御供ごくうに上がつたのは、近頃熱くなつて通つて居る、深川の踊り子、辰巳で一番と言はれた、美乃屋のお小夜さよといふですよ
既に今昔物語には人身御供ごくうの物語が載っていて、遥かにのちの宮本左門之助の武勇談などの祖と為っている。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
山王様のおやしろで、むかし人身御供ごくうがあがったなどと申し伝えてございます。森々しんしんと、もの寂しいお社で。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
富士山の南麓なんろく地方には、これをまたウマノゴック、あるいはウマノオコワ(馬の強飯こわめし)という名もある。ゴックは御供ごくうで神に供える飯、即ちまた強飯のことだという。
嗚呼あゝ神よ、若き人は女の生みたる子は、御供ごくう牡牛をうしよりも御心みこゝろかなふべし
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
見る積りだつたんだ。——お前に言はれなくたつて、人身御供ごくうのお町だけは助けてやりたい。行つて見ようか、八
鶴屋のにらみが怖いから、誰も口をきいてくれる者もなく、いよ/\今夜といふ今夜、あのお春坊のポチヤポチヤしたのが人身御供ごくうに上ることに決つたと聽いたら
そのわけは、主人筋の青江備前守びぜんのかみに、娘を人身御供ごくう同様のめかけに取上げられ、二年経たないうちに、気に入らない事があると言って、なぶり殺しにされてしまったからだ。
そのわけは、主人筋の青江備前守びぜんのかみに、娘を人身御供ごくう同樣のめかけに取上げられ、三年經たないうちに、氣に入らない事があると言つて、なぶり殺しにされてしまつたからだ。
そのこゝろざしは有難いが、お秋を人身御供ごくうに上げて、私は出世をする氣はありません。
山名屋は離屋はなれの縁側でたしかに私に二百兩の金を渡しました。たつた二百兩ばかりの金で、妹を人身御供ごくうに上げるかのと思ふと、私は涙が出て仕樣がなかつたけれど、それもこれも宗次郎さんの身を