往返おうへん)” の例文
ともある、その使者舟の影も、沖と岸とのあいだを、火のひものように、もう往返おうへんしだしているのが、眺められる。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夕方三人で又一君宅の風呂ふろをもらいに行く。実は過日来往返おうへんたび斗満橋とまむばしの上から見てうらやましく思って居たのだ。風呂は直ぐ川端かわばたで、露天ろてんえてある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
往返おうへんの距離と案内においてかえって優れているせいと思われます。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
山陰山陽十六ヵ国にわたる軍令権のみゆるしは、そのきょにあたっていちいち都へ使いを往返おうへんしていてはまにあわないのですべてをゆだねられたものではあった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのため、相互の使者の往返おうへんが三、四度にもおよんだ。結局、師直、師泰は高野山へのぼらせて生涯を出家遁世しゅっけとんせいに終らせる。これなら尊氏は二人へ告げて観念させることができるとしたのである。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
往返おうへん、二タときとはかかりますまいから」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)