当面とうめん)” の例文
旧字:當面
ひとりい、ひとり答えて、はては当面とうめん大難だいなんにあたまも惑乱わくらんして、ぼうぜんと、そこに、うでぐみのまま立ちすくんでしまったのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
釧路川と太平洋にはさまれた半島の岬端で、東面すれば太平洋、西面すれば釧路湾、釧路川、釧路町を眼下に見て、当面とうめんには海と平行して長くいたおかの上
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しかし当面とうめんの小田原一城も、容易に陥落しなかった。理由は、逸早いちはやく甲州から信玄の有力な部隊や参謀が城内に入っていて、氏康に協力していたからである。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平潟は名だたる漁場りょうばである。湾の南方を、町から当面とうめん出島でしまをかけて、蝦蛄しゃこう様にずらり足杭あしくいを見せた桟橋さんばしが見ものだ。雨あがりの漁場、唯もうなまぐさい、腥い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)