引率いんそつ)” の例文
五郎造は引率いんそつしてきた五人の左官を呼びあつめると、今日の仕事の分担をそれぞれ云い渡した。そしてすぐさま仕事にとりかかった。
東京要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その金瓶楼主が、きっと多勢引率いんそつして芝居にくるだろうと、お絹は思っていたので、電話がかかってくると、飛んでいって受話機を取った。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
わらったのが悪いといって阪井生蕃さかいせいばんが石の雨を降らした。逃げ去った師範生は同級生を引率いんそつしてはるかに嘲笑ちょうしょうした。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
引率いんそつの教師が飛石をつくるのもおかしいがまたえらい。やっぱりおかしい。ありがたい。うまくいった。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
すぐ走り戻って来た小物見の一名が、相違ありませぬ、と報告してから程なく、総人数四、五百の一手が、池田勝入の引率いんそつする約六百と合して、およそ千余の人影が、魚紋のように乱れうごいていた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
工部局の警官隊がロッジ部長に引率いんそつされて、レーキス・ホテルにのりこんできた。休憩室のドアは、はなやかに外からうちこわされた。
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それは秋もようやくたけた十一月のおわりのこと、二人の教師に引率いんそつされた中学生五名が、このヘクザ館を見学にきた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
当時儂の配属はいぞくは、第十三戦隊の司令で、僚機りょうきとして、同型の戦闘機二台を引率いんそつしていたのだった。わが青軍の根拠地の土佐湾は、いよいよ持ちきれなくなって、横須賀軍港よこすかぐんこうへ引移ることに決定した。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)