トップ
>
庇間
>
ひあわい
ふりがな文庫
“
庇間
(
ひあわい
)” の例文
湯は、だだっ広い、薄暗い台所の板敷を抜けて、土間へ出て、
庇間
(
ひあわい
)
を
一跨
(
ひとまた
)
ぎ、
据
(
すえ
)
風呂をこの
空地
(
くうち
)
から焚くので、雨の降る日は難儀そうな。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
明智はその石垣を
攀昇
(
よじのぼ
)
って、板塀と土蔵との
庇間
(
ひあわい
)
の薄暗い中へ入って行った。五六間行くと突当りになってそこに別の塀が行手をふさいでいる。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
丁度
道了権現
(
どうりょうごんげん
)
の向い側の、ぎっしり並んだ家と家との
庇間
(
ひあわい
)
を分けて、
殆
(
ほとん
)
ど眼につかないような、細い、ささやかな小路のあるのを見つけ出した時
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こゝの
家
(
うち
)
も店さきを一間二尺ほど切り下げられるんださうで、両隣との
庇間
(
ひあわい
)
へ杭を打たれたんです。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
隣家の土蔵との
庇間
(
ひあわい
)
から、すべり入って、暗がりを、境の板塀を
刎
(
は
)
ね
越
(
こ
)
すと、奥庭——この辺によくある、
大店
(
おおだな
)
の空家を買って、そのまま、米問屋をはじめたわけなので
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
▼ もっと見る
その
庇間
(
ひあわい
)
のような所にそういう路次の入口があり、時にはその入口にちょっとした潜り門のようなものが附いていて、奥の長屋に住んでいる人々の表札が並べて掲げてあることもある。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
蒸々
(
むしむし
)
と悪気の籠った暑さは、そこらの田舎屋を圧するようで、空気は大磐石に化したるごとく、
嬰児
(
みどりご
)
の
泣音
(
なくね
)
も沈み、鶏の
羽
(
は
)
さえ羽叩くに
懶
(
ものう
)
げで、
庇間
(
ひあわい
)
にかけた
階子
(
はしご
)
に留まって
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それが一体に妖婦の
眼隈
(
くまどり
)
の様に艶かしくも黒ずんで、明るい所と云っては、絶壁と絶壁との
庇間
(
ひあわい
)
の細く区切られた空、それも平地で見る様な明るいものではなく、昼間も夕暮時の様に鼠色で
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
庇
漢検準1級
部首:⼴
7画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
“庇間”で始まる語句
庇間合