年紀としのころ)” の例文
年紀としのころは二十七八なるべきか。やや孱弱かよわなる短躯こづくりの男なり。しきり左視右胆とみかうみすれども、明々地あからさまならぬ面貌おもてさだかに認め難かり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あるじ一〇あふごをとりて走り出で、の方を見るに、年紀としのころ一一五旬いそぢにちかき老僧の、かしら紺染あをぞめ一二巾をかづき、身に墨衣のれたるを穿て、一三つつみたる物を背におひたるが、つゑをもてさしまねき
年紀としのころ二十六七と見えて、身材たけは高からず、色ややあを痩顔やせがほむづかしげに口髭逞くちひげたくましく、髪のひ乱れたるに深々ふかふかと紺ネルトンの二重外套にじゆうまわしえりを立てて、黒の中折帽を脱ぎて手にしつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)