幕開まくあき)” の例文
幕開まくあきうたと三味線が聞え引かれた幕が次第にこまかく早める拍子木のりつにつれて片寄せられて行く。大向おおむこうから早くも役者の名をよぶ掛け声。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もう幕開まくあきの鈴が鳴る。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
トリスタンの幕開まくあきほばしらの上で船頭の歌ふ歌、此の方がなほよく境遇に適して居やう。処が今度は歌の文句ばかりで、唱ふべき必要の節が怪しくなつて居る。
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
拍子木ひやうしぎがチヨン/\とふたツ鳴つた。幕開まくあきうた三味線しやみせんきこえ引かれたまく次第しだいこまかく早める拍子木ひやうしぎりつにつれて片寄かたよせられてく。大向おほむかうから早くも役者の名をよぶけ声。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)