差櫛さしぐし)” の例文
そしてくしの目を髪に立てやうとは思はないのであるから、こてを当てるとぐ手で上へ差櫛さしぐしで止めて、やがて護謨ごむの紐で其れが結ばれ、自分の髪は三つに組まれて投げる様に輪にされる。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ですからもう差櫛さしぐしが出来たり、かんざしがさせたり、その時分から出来たのでした。南みち子と言ふ一人の生徒を羨まないのは、学校の中でも極めて小い組の人達だけだつたであらうと思ひます。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
かた御殿形ごてんがた、お初形はつがた、歌舞伎形などありと知るべし。次には櫛なり、差櫛さしぐし梳櫛すきぐし洗櫛あらひぐし中櫛なかざし鬢掻びんかき毛筋棒けすぢぼういづれも其一そのいちくべからず。また、鬢附びんつけ梳油すきあぶらと水油とこの三種の油必要なり。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)