巨寺おおでら)” の例文
これには弱ったんだ、清全寺ッて言う巨寺おおでらの秘仏だっさ。去年の夏頃開帳があって、これを何だ、本堂の真中まんなかへ持出して大変な騒ぎを遣るんだ。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
巨寺おおでらの壁に見るような、雨漏あまもりあと画像えすがたは、すす色の壁に吹きさらされた、袖のひだが、浮出たごとく、浸附しみついて、どうやら饅頭まんじゅうの形した笠をかぶっているらしい。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
高い処に照々きらきらして間数まかず十ばかりもござりますのを、牛車うしぐるまに積んで来て、背後うしろおおきな森をひかえて、黒塗くろぬりの門も立木の奥深う、巨寺おおでらのようにお建てなされて、東京の御修業さきから
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
芸妓屋町へ渡る橋手前へ、あたかも巨寺おおでらの門前へ、向うから渡る地蔵のかま
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)