巨匠きょしょう)” の例文
それでありながら、古代ギリシャ、ロオマの巨匠きょしょう達が発見した、人間の文字通り具体的な、観念にかれぬという意味での美しさが、百花撩乱りょうらんと咲き乱れておりました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
欄間らんま壁障へきしょうはすべて総漆そううるし、襖には、狩野永徳かのうえいとくそのほか当代の巨匠きょしょうふでをそろえての間、芙蓉ふようの間、墨梅ぼくばいの間、遠寺晩鐘の間などと呼ぶにふさわしい彩管さいかんふるっている。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先代大隅太夫おおすみだゆうは修業時代には一見牛のように鈍重どんじゅうで「のろま」と呼ばれていたが彼の師匠は有名な豊沢団平俗に「大団平」と云われる近代の三味線の巨匠きょしょうであったある時蒸し暑い真夏の夜にこの大隅が師匠の家で木下蔭挟合戦このしたかげはざまがっせんの「壬生みぶ村」を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)