巌根いわね)” の例文
旧字:巖根
しかし、慈円のその信念は、決して、あやふやな——らしいの程度ではなく、山の巌根いわねのごとく、範宴の将来に刮目かつもくしているのであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我空想はかの少女おとめをラインの岸の巌根いわねにをらせて、手に一張ひとはりの琴をらせ、嗚咽おえつの声をいださせむとおもひ定めにき。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そのはぎの白さ、常夏とこなつの花の影がからみ、磯風に揺れ揺れするでしゅが——年増も入れば、夏帽子も。番頭も半纏のすそをからげたでしゅ。巌根いわねづたいに、あわび、鰒、栄螺さざえ、栄螺。……小鰯こいわしの色の綺麗さ。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
巌根いわねのように堅固に、あらゆる心機をここに征服するだけの備えもかたまったつもりであるが、なぜか、この一盲人の極めて平俗な問に対して、きっぱりと
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)