屯食とんじき)” の例文
屯食とんじき——とは遠い時代、握り飯のことをった名と聞いている。屯食たむろぐいという意味から生れた言葉であろう。だが、ここの「どんじき」とは一体何か。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幾つかの宴席の料理の仕度したくなどは内廷からされた。屯食とんじきの用意などはお指図さしずを受けてとうの中将が皆したのである。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
駄餉だしょうとも雑餉ざっしょうともこれをいって、めし屯食とんじきという握飯にぎりめしで、しるは添わなかったようであるが、そのかわりにはいろいろのご馳走ちそうひつ長持ながもちで持ちはこばれ、上下じょうげ何十人の者が路傍の森のかげなどで
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
屯食とんじき五十具、碁手ごての銭、椀飯おうばんなどという定まったものはその例に従い、産婦の夫人へ料理の重ね箱三十、嬰児えいじの服を五枚重ねにしたもの、襁褓むつきなどに目だたぬ華奢かしゃの尽くされてあるのも
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)