“尼前(あまぜ)” の例文
「おおすぐがよい。尼前(あまぜ)、覚一、また会おう。再会はまだ先の日遠いかもしれぬが、きっと会おう。その日まで、つつがなく暮しておれよ」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「のう、尼前(あまぜ)、一体、何処へ連れてゆくのじゃ」
「なんの、尼前(あまぜ)を忘れようか。もう十年も会わなんだであろ。そうだ、国元の世良田で会ったきりだったな。……それにしては変っていない」
そして、自分にかなわぬ今の希望を、子の代につないでも、やがて尼前(あまぜ)とお息子のような道を、私たちも、気を長う、後から歩くことにしましょうわえ
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昨夜、淀の辺にて、配下の者が、人もあろうに、足利殿の御縁者という尼前(あまぜ)と盲(めしい)のお息子を、ほかの怪しき雑囚(ざっしゅう)と共に、つい六波羅牢へ曳き入れまいた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それとも、盲法師と尼前(あまぜ)を無事に都へとどけて、御苦労ともいわれず、再び主家へ戻って、一生武家郎党の端(はし)で終るか。どっちを択(と)るかだ、ここの思案は
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや尼前(あまぜ)、六波羅にいた頃とは、大変りだ。其許(そこ)たちの目から見たら、今の尊氏のすがたなど羅刹(らせつ)のように見えようがな。……生きるか死ぬかだ。はははは」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
礼儀だけでなく、こんなきれいな尼前(あまぜ)が世にあろうかと、卯木は、眼醒めるような心地がした。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はい、むかしの世良田殿も、いまはいかめしゅう、総大将の陣座にわせられ、尼前(あまぜ)よ、心配すな、そばにおれ、いくさはすぐにすむ。必定(ひつじょう)、尊氏は自滅か斬り死のほかあるまい。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「供は、二人か。お若い尼前(あまぜ)に、盲(めしい)の子連れ。……のう登子、ちと心もとないなあ」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「新田殿へはお悪いが、公用火急のお召ゆえ、ぜひもない。昔なじみの尼前(あまぜ)がごあいさつに出て、ようお詫び申しておけ。かならず早くに帰って来る。——と、かように私へ仰ッしゃって」
「尼前(あまぜ)。このたびは、えらいご奮発だのう。……故郷(ふるさと)をすてて都住みとは」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
輿(こし)もおびただしく用意され、女院や尼前(あまぜ)の足弱は、兵に舁(か)かれた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おそらく、わらわが世良田へまいっても、やぶれは同じだったであろ。……この上はもう、さいごの心をきめました。そなたは元々、尼前(あまぜ)のおん身。草庵に帰って、ひたすら籠っておられるがよい」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「尼前(あまぜ)……。そこにいて、よう見とどけておくりゃれ」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おっ、昨夜の尼前(あまぜ)か」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「相違ないのか、尼前(あまぜ)」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「尼前(あまぜ)」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)