小車おぐるま)” の例文
左様、たしかにおりましたよめくらの老婆が。よく縁先の日なたで糸をつむ小車おぐるまを廻していましたが、それが李逵のおふくろでしょう。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
因果はめぐ小車おぐるまの……といったような金言があるの。だが金言というやつは、それ自体では値打ちがなく、逆理において値打ちがあるらしい。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
現代——ある意味において——めぐる因果の小車おぐるまなどという事は、天井裏の車麩くるまぶを鼠が伝うぐらいなものであろう。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
因果いんがはめぐる小車おぐるまのそれで、自ら仕掛けた長期性時限爆弾の炸裂のために、ついに一命をうしなったのではないかと思うのであるが、果してそうであろうか、どうじゃろうか。
寺の角から新堀伝いの左へ下ると、退屈男とはめぐる因果の小車おぐるまのごとくに、切っても切れぬ縁の深い新吉原の色街いろまちでした。——もうここまで来れば匂いが強い。右も左も江戸の匂いが強いのです。
里人の往来、小車おぐるまのつづくの、田草を採る村の娘、ひえく男、つりをする老翁、犬を打つわらべ、左に流れる刀根川の水、前にそびえる筑波山つくばやま、北に盆石のごとく見える妙義山、隣に重なッて見える榛名はるな
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
輪廻りんねはめぐる小車おぐるま
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)