小躯こがら)” の例文
銀子はでっくりした小躯こがらだが、この二三年めきめきふとって、十五貫もあるので、ぶらぶら歩くのは好きでなかった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それで相手あいての顔は見ないで、月をあおいだ目元は其丸顔に適好ふさわしく、品の好い愛嬌のある小躯こがらの女である。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
三番目に見栄みばえのしない小躯こがらのお作が、ひょッこりと降りると、その後から、叔父の連合いだという四十ばかりの女が、黒い吾妻あずまコートを着て、「ハイ、御苦労さま。」と軽い東京弁で
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
せんにいた職人が、女気のなかったこの家へ、どこからともなく連れて来て間もなく、主人との関係の怪しまれていたその年増は、渋皮のけた、色の浅黒い無智な顔をした小躯こがらの女であったが
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ちょうど最近披露目ひろめをした小躯こがらの子が一人、それよりも真実ほんとうの年は二つも上だが、戸籍がずっとおくれているので、台所を働いている大躯おおがらの子に、お座敷の仕度したくをしてもらっているところだったが
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)