小菅こすげ)” の例文
この歳にお父様が、世話をする人があって、小菅こすげの監獄署の役人になられた。某省の属官をしておられたが、頭がつかえて進級が出来ない。
ヰタ・セクスアリス (新字新仮名) / 森鴎外(著)
菖蒲園しょうぶえんなども開いていて、遊山ゆさんの人の姿も見られました。小菅こすげの刑務所の見える堤に、遊山の人からは少し離れて、仰向けに寝て休みました。
わが師への書 (新字新仮名) / 小山清(著)
この町から上野まで五十六分しかかからぬのだが、利根川、江戸川、荒川という三ツの大きな川を越え、その一つの川岸に小菅こすげ刑務所があった。
日本文化私観 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
現在の名誉名人小菅こすげ剣之助さんは名古屋の笠寺かさでらの生れだから、(笠寺小僧)と呼ばれ、本所に住んでゐた相川次三吉じさきちさんは(本所小僧)と呼ばれ
駒台の発案者 (新字旧仮名) / 関根金次郎(著)
ある日楯岡たてをかへ行つた帰りに袖崎そでさき駅で下車して大石田へ向つて歩いて来ると、ヘグリに近い小菅こすげ村に沿うた最上川に鯉の群が遊泳してゐるやうな気配を感じた。
(新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
文面によると、三元はすでに碑文谷署から身柄は小菅こすげに移されている様子であった。公判の日時などが二伸に記されていた。彼は小菅刑務所がどこにあるのか知らなかった。
黄色い日日 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
萩原から米を持って来て、妙見の社へ置いて帰ると、数日を経て小菅こすげから炭を持って来て、そこに置き、さきに置いてあった萩原の米を持って帰る。萩原は甲斐を代表し、小菅は武蔵を代表する。
家中の小菅こすげ五郎兵衛は、多門の下を駈けめぐっていた。信盛は上から
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊予松平ならびに池田備前侯、長州の毛利、薩摩さつまの島津、といったようなお歴々が参覲交替のためにご出府なさるときは、遠路ご苦労であるというおもてなしから、必ずともに将軍家が東北路は小菅こすげ
「まあ申せば小菅こすげのようなところですの」
筆にも口にもつくす (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
往復ともに小菅こすげの刑務所のそばを通った。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
根やはら小菅こすげかすれて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
これは表芸の方であり、裏芸の方ではワイロをせしめたカドによって小菅こすげの方へ引越したという。
現代忍術伝 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
小菅こすげの大臣なみに幸せを致しております。
退歩主義者 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)