小力こぢから)” の例文
おかんはかっとなって男の喉をしめた。在所ざいしょ生まれで、ふだんから小力こぢからのある彼女が、半狂乱の力任せに絞めつけたので、孱弱かよわい男はそのままに息がとまってしまった。
半七捕物帳:34 雷獣と蛇 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
田舎漢いなかもの小力こぢからもあるものでございますから、川中から這いあがって参りながら、短いのを引き抜き
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あいつも小力こぢからはありそうだが、四十八貫目では、ちょっと持ち出せまい、危ねえものだテ……
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かかりあいのがれぬ、と小力こぢからのある男が、力を貸して、船頭まじりに、このてあいとてたしかではござりませなんだ。ひょろひょろしながら、あとのまず二たるは、になって小売みせへ届けました。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
車夫しゃふは年頃四十五六しじゅうごろく小肥満こでっぷりとした小力こぢからの有りそうな男で、酒手さかて請取うけとり荷を積み、身支度をして梶棒かじぼうつかんだなり、がら/\と引出しましたが、古河から藤岡ふじおかまでは二里里程みちのり
のしちまいやがって、人間というやつぁ、なまじい何か取柄があるとかえっていけねえ、餓鬼のうちから小力こぢからがあって、身が軽い、それから柄になく武芸が好きで、好きこそ物の上手というやつで
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
小「此奴こいつ小力こぢからがあるな」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)