もっ)” の例文
旧字:
もてあそブ/頑雲月ヲ包ミテ山角ニ走リ/急霰風ニ乗リテ帽尖ヲツ/遺却ス身材ハ襪線ノ如シ/擬ス涓滴ヲもっテ炎炎ヲ救フニ〕
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
官を差し来り講じ、高麗一百七十六城をもって、俺に讓与せよ。俺好物事あり、相送らむ。
岷山の隠士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
の方孝友が、方孝孺とともに死にくに際し、「阿兄何ぞ必ずしも涙潸々さんさんたらん、義を取り仁を成すはこの間にり、華表柱頭千載の後、夢魂旧に拠りて家山に到らん」の一詩をもってこれに比すれば
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「文久正当甲子年。吾王千里駕楼船。好将瀲灔曙堂酒。祝向渺漫春海天。」〔文久正ニ当ル甲子ノ年ニ/吾ガ王千里楼船ニ駕ス/ミスルニ瀲灔曙堂ノ酒ヲもっテシ/祝フニ渺漫春海ノ天ニ向フ〕
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ビテ水雲くらシ/手ニ到ル凶函涙痕湿うるおフ/蕙帳夜空シク謦欬ノ如ク/松堂月落チテ温存ヲ失フ/俊才多ク出ヅ高陽里/遺業久シク伝フ通徳門/天際少微今見エズ/誦スルニ招隠ヲもっテ招魂ニ当ツ〕『春濤詩鈔』にこの挽詞ばんし
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)